EUとのEPAの概要とメリット・デメリットについて。日本にとって本当に有益なのか?
2017/07/13
2017年7月5日、日本と欧州連合(EU)のEPA交渉が大筋で合意したと報道されました。岸田外務大臣がEUの通商担当と協議していました。
今回の報道で「EPA」という言葉を知った人も思いますが、なんとなく関税についての国家間の取り決めを作ろうとしていることは、私でもわかりました。今回はもう少し詳細なところまで見て生きたいと思います。
そもそもEPAとは何か?日本とEUのEPAのメリットやデメリットについて調べてみました。
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EPA(経済連携協定)とは
EPAとは日本語だと「経済連携協定」で、英語で略さないと、"economic partnership agreement"です日本語でも英語でも結構わかりやすいです。横文字3文字で表していることでわかりずらくなっている気がします。FTAとは(Free Trade Agreement)と同義ですね。
メリット
- EPAの相手国内で日本の製品の競争力が上がる
- いままでよりも物・サービスを安く購入できる
- 日本の企業が海外進出をしやすくなる
輸出品は、その輸出された国の中での競争力が増すので、海外でマーケットを持っている企業にとっては、嬉しいことです。今まで海外に進出できなかった企業もより挑戦しやすい環境になるはずです。
消費者からしても、いままでよりも安く同じものが手に入るのでお得です。
デメリット
- 国内製品が価格競争にさらされる
- 食品の安全基準
市場競争力がない物や組織はダメ(負ける、退場する)になってしまうという市場の原理からするとしょうがない部分はあると思います。
たとえば、チーズの関税が軽減されると、酪農をやっている方々にとっては大打撃です。最近では酪農をやる若い人も増えてきているので、それに水を差す結果になるかもしれません。
農協は黙っていません。
「工業製品を売り込むために、農業が犠牲になるパターンはそろそろやめていただきたい」
とJAの全中の奥野長衛会長は言っています。
食品の安全基準が日本国内と同じレベルで行われるかは心配です。
日本製品はブランド力を高めることで、このデメリットに対応できるのではないかと思います。質と安全性をより改良していく必要があるかもしれません。
日欧EPA概要
日本とEUの間でのEPA交渉は2013年から始まり、4年以上の歳月に及ぶ交渉の結果が、2017年に形になったといえます。日本は自動車や自動車部品の関税の撤廃を要求し、EU側は、チーズやワインの関税撤廃を求めていたようです。2019年の発行を予定しているそうです。
消費者側からすると、いいものが以前より安く購入できるので、嬉しいです。ただし、日本国内の競合製品の生産者は困りますよね。合意事項を見ていきます。
日欧EPAで合意したと思われる内容
日本からの輸出品について
- 自動車 10% の関税が今後7年で撤廃
- 自動車部品 3-4% の関税が9割以上の品目で即時撤廃
- 電子機器 14% (テレビ) の関税が5年で撤廃
- 日本酒 7.7ユーロ(100ml)の関税を即時撤廃
EUからの輸入品について
- ワイン 1本あたり最大93円の関税を即時撤廃
- チーズ 29.8% の関税が、カマンベールチーズなどのソフトチーズの低関税枠を新設
- 豚肉 1キロ当たり482円の関税を50円に
高級な肉の4.3% を撤廃 - パスタ 1キロ30円の関税を、徐々に12円以下に
EUは、東京電力福島第一原子力発電所の事故の後から、東北地方などから輸入される食品についても一部輸入を緩和する方針だそうです。対象となるのは福島県産のお米や水産物などです。日本政府の努力(高い安全基準をクリアしていることを証明し続けた)のおかげですね。
まとめ
個人的にはチーズもワインもパスタも安くなってくれて嬉しいですが、今後安くなるであろう輸入品の競合製品を作っている日本企業や酪農家は、苦しくなるかもしれません。