脱中国サプライチェーン補正予算2400億円|タイ・ベトナム・インドネシア・シンガポール・マレーシア・フィリピンに移管か?!
緊急経済対策の一環として、2020年度補正予算案に2,435億円の強靭なサプライチェーン構築のための予算を盛り込みました。
要は、中国に依存しているサプライチェーンを再構築して、予想できない事態が発生しても、問題ないように対応できるように予算を組んだということです。
中国サプライチェーンに頼るうえでのリスクやメリット、中国以外の生産拠点についてまとめています。
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目次
2020年度補正予算案(脱中国 サプライチェーン)
総額2435億円の脱中国を含む2020年度補正予算案 (財政支出39.5兆円)についてですが、
新型コロナウイルスの感染拡大で、サプライチェーンが寸断され、危機感を持ち、生産拠点を中国から、日本への国内回帰や第三国に移転することを支援します。その予算が、2,435億円です。
日本企業が特定の国に依存しない強靱なサプライチェーンを構築するためにかかる国内生産拠点の整備、建物の整備などの一部を補助します。また、特定の国以外の第三国へ生産拠点を移転することも後押します。
今回の感染症による中国のサプライチェーンの寸断以外にも何かリスクがあるのかも見ていきます。
中国にサプライチェーンを依存してしまうリスク
特定国に頼ることによるリスク以外の中国に頼るリスクは大きく分けると3つです。
- 米中関係、日中関係
- 新型ウィルスの発生源
- コスト増
2010~2012年に起きた尖閣諸島問題では、中国によるレアアース禁輸や中国現地工場が破壊されてしまうなど問題に直面してしまいました。
2018年には、米中貿易摩擦が起こり、関税の引き上げ合戦が始まります。中国から他国に生産拠点を移す動きが活性化していきます。
そして、2019年の年末から始まった新型コロナ感染拡大の影響で中国からの輸入は2020年2月に前年同月比で半減するほどのダメージを受けました。
中国依存度が主要先進国の中で最も高い日本は、電子部品やパソコン部品、自動車部品の輸入が多く、そういった商品が手に入りにくい状態になりました。
中国武漢市は自動車産業が盛んで、中国からの部品輸入が止まってしまった自動車メーカーが生産停止に追い込まれました。
様々な動物を食すので、新型のウィルスが発生しやすいのか、SAARS も中国初ですし、ウィルス発生という意味でもリスクです。
アメリカと同盟を結ぶ日本にとっては、米中の貿易摩擦も大きなリスクです。
今後のことを考えると、生産拠点を中国だけに頼るのは恐いと言わざるを得ない状況です。また、中国での生産コストも、中国の経済成長とともに次第に高くなっているので、他国に移すことにより受けるメリットも多いと言えます。
その中国から工場を移した企業の例を紹介します。
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サプライチェーンの脱中国 事例
リコーはアメリカ向けの複合機生産をタイに移管。アメリカ向けのものは、中国で作りずらいですよね。
「ユニクロ」で有名なファーストリテイリングはベトナムに縫製工場を増やしています。確かに Made in Vietnam が増えました。
アップルの「iPhone」やHPやデル(DELL)の受託製造をしている、鴻海精密工業もインドやアメリカにある生産拠点を増強しています。それまでは中国に大きなサプライチェーンを作っていました。
移動先候補
中国の次の生産拠点ですが、タイ、ベトナム、インドネシア、シンガポール、マレーシア、フィリピンなどでしょうか。シンガポールは向上の拠点としては難しいですが。
アセアン諸国の国際収支ベースでの海外直接投資額は、シンガポール、タイ、インドネシアの3カ国で7-8割を占めます。
ユニクロはベトナムで生産拠点を強化していますし、脱中国の後はこういった国々が世界の工場になっていくかもしれません。
簡単ではない 脱中国サプライチェーン
新型コロナで浮き彫りになった中国依存ですが、なぜ脱中国が進まないのでしょうか。
世界最大の14億人という人口でわかる通り、豊富な労働力があります。
年間2億台の出荷数があるiPhoneの生産や、HPの6000万台のパソコン製造を請け負っている鴻海傘下のフォックスコンは、中国に50万人を超える作業員を雇っています。主力工場では繁忙期には30万人弱が集まるのです。
部品の製造なども含めればアップル製品の製造に、中国の約300万人の労働者が関わっていて、世界の電機企業では中国に数十万以上の製造員を雇っています。
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中国が打つであろう施策
日本政府の補助金に対して、中国も黙ってはいません。
AIや5Gなどハイテク分野で日本企業に補助金を出して、中国にとどまるように動いてくることを予想されています。
まとめ
脱中国は難しいですが、もし達成できたときに受けるメリットのほうが多そう。
中国に依存しすぎるのは、サプライチェーンの寸断といったリスクにつながる。
米中関係、生産コスト増も考えると、徐々に東南アジアに生産拠点を移していくのが得策です。